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最高裁判所第三小法廷 昭和53年(行ツ)50号 判決 1978年6月23日

上告人 佐々木信行

右訴訟代理人弁護士 駿河哲男

柴田久雄

被上告人 秋田県選挙管理委員会

右代表者委員長 柴田久助

右訴訟代理人弁護士 内藤庸男

内藤徹

参加人 小山田四郎

右訴訟代理人弁護士 梅澤秀次

高村正彦

井上章夫

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人駿河哲男、同柴田久雄の上告理由書(一)記載の上告理由第一点、第二点及び同(二)記載の上告理由第二点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認しえないものではなく、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決の違法をいうか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであって、採用することができない。

同(一)記載の上告理由第三点について

所論の点に関する原審の判断は正当であって、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同(一)記載の上告理由第四点ないし第一五点及び同(二)記載の上告理由第三点について

所論指摘の係争票のうち、原判決添付別表一7の「小四」と記載された投票は、その記載の第一字目が参加人小山田四郎の氏の第一字目と、また、その記載の第二字目が参加人の名の第一字目とそれぞれ一致するけれども、参加人の氏名は全部で五文字であって、そのうちわずか右二文字が一致するにすぎないのであるから、右投票の記載をもって、原審のように参加人に投票する意思をもってしながら参加人の氏のうちの「山田」の二文字とその名のうちの「郎」の一文字とを遺脱したものと解するのは相当でなく、また、参加人が「小四」という通称で称呼されていた等特段の事情のあることについて主張立証のない本件においては、参加人に投票する意思でその氏名を略記したものと推断することもできない。したがって、右投票は、公職の候補者の何人を記載したかを確認しがたいものとして無効とすべきであり、右投票を参加人に対する有効得票と解した原判決には法律の解釈適用を誤った違法があるものといわなければならない。

しかしながら、所論指摘のその他の係争票の効力に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠関係及びその説示に照らし、いずれも正当として是認しえないものではなく、原判決に所論の違法はない。

そうすると、上告人の有効得票は原審認定のとおり九二五五票、参加人の有効得票は原審の認定より一票減の九二五七票となり、参加人の有効得票が上告人のそれをなお二票上回ることになるから、上告人の当選を無効とした被上告委員会の本件異議決定は正当というべく、これと結論を同じくする原判決は、結局、正当である。それゆえ、論旨は、採用することができない。

同(二)記載の上告理由第一点について

原審の審理の経過にかんがみれば、原審が所論二証人の再尋問を実施しなかったことが民訴法一八七条三項後段に違背するものとは認められない。原審の訴訟手続に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 江里口清雄 裁判官 天野武一 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顯 裁判官 環昌一)

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